旅館業法と民泊新法|民泊運営はどっち?

旅館業法と民泊新法|民泊運営はどっち?


「民泊運営って、旅館業法と民泊新法、どっちのルールに合わせればいいの?」という方へ。

この記事では、あなたが運営する予定の民泊がどの法律に当てはまるのか、旅館業法の中身について、分かりやすく深掘り解説します!

旅館業法と民泊新法。どちらも提供するサービスや施設の内容によって異なりますよ。

この記事で分かること▼

旅館業法と民泊新法の中身

民泊運営する上で従わないと行けない法律の種類

違反したときの罰則と対策

この記事を書いた人:エアホスト  デジタルマーケティング部

旅館業法と民泊新法のどちらか|結論→民泊の場所・施設・サービスの内容次第で変わる

旅館業法と民泊新法のどちらか|結論→民泊の場所・施設・サービスの内容次第で変わる

民泊を始めるとき、どこにあるのか、どんな目的で運営するのかによって、旅館業法か民泊新法かを選びます。

旅館業法

民泊新法

ルールの厳しさ

ルールが多く厳しい。けど安全で清潔感が守られている

ルールが少なく、比較的柔軟。短い期間だけ貸したい人は始めやすい

ゲストの安心感

高く、信頼できる

信頼できる

運営できる場所

限定された場所(商業地域・近隣商業地域・準工業地域・無指定の地域)

より広い範囲(住宅地でもOK)

旅館業法のルールに沿って運営するなら、民泊だけれど”旅館・ホテル・簡易宿所”というカテゴリーになり、民泊新法のルールに沿って行うのであれば、それは”民泊(一般の住宅を貸す)”となります。

どちらの法律にも、安全性や衛生面、近隣住民への配慮などの基準が設けられており、許可を得て運営しなければなりません。

旅館業法と民泊新法の主な内容と違い

旅館業法

ホテルや旅館などの宿泊施設が守るべきルールを決めた法律です。

ゲストが安全かつ清潔な場所で泊まれるように、とても厳しい基準を設けています。

たとえば、ホテルのようにフロントがあって、火事が起きたときにすぐに逃げられるような避難設備が必要です。また、ホテルの場所も、お店や工場がある地域のように特定の場所に限られています。

民泊新法

2018年にできた新しい法律で、普通の家を短期間だけ旅行者に貸すことを簡単にするためのルールです。

家の持ち主が自分の家を「民泊」として貸し出すときに、旅館業法ほど厳しい基準は必要ありません。

たとえば、フロントがなくても良く、避難設備も簡単なものでOKです。場所も幅広くて、住宅地でも運営可能です。

ですが「180日ルール」があり、1年間を通して180日しか営業できません。残りの185日はマンスリーやウィークリーマンションとして営業する方法もあります。

どのような民泊にどちらの法律が最適か

まずは、運営する民泊の用途地域を確認しましょう(用途地域については後ほど解説)

用途地域が、旅館業法と民泊新法どちらにも適している場合、

  1. 収益性をどれだけ求めるか(民泊新法なら180日しか運営できない)

  2. どの程度の頻度で自分自身が利用するか(別荘として使いたいなど)

  3. あまり面倒な手続きをしたくない。早く運営開始したい

といったように、なにをどれだけ重視するかによって、民泊新法か旅館業法かを選ぶことになります。

どちらの法律か

収益に重きを置くか

商売としての適正

運営までのハードル

旅館業法

高い

1年中を通して継続的に商売をしたい

高い

民泊新法

低い

収益は年間の半分でOK。残りは自分用に別荘として使いたい

低い

民泊スタイルで選ぶとしたら、例えば地域密着型で、地元のライフスタイルを体験できるような民泊でしたら、民泊新法が適しています。

一方、商業地域や準工業地域、リゾート地などで宿泊サービスを提供したい場合は、旅館業法の下での運営が適しているでしょう。

また、都会のマンションでスタイリッシュでおしゃれな部屋を貸したいなら、民泊新法がいいかもしれません。

一方で、リゾート地で豪華なヴィラを1年中貸して、安定した収入を得たいのであれば、旅館業法の下で運営するのがいいでしょう。

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旅館業法で民泊を運営する場合のルール

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旅館業法のルールは、以下のポイントを押さえましょう。

  • 用途地域

  • 建築用途

  • 消防設備

  • フロントなどの設備設置

  • 許可の取得方法と手順

詳しく解説します。

用途地域

用途地域とは、その土地がどんな建物や活動に使われるかを決めるルールです。

閑静な住宅街にあたる『住居専用地域』では、旅館業法としての運営が難しくなります。

一方で、『住居地域』(住宅以外の小規模店舗や事務所がある地域)や、お店、会社などが多い商業地域であれば、旅館業法に合わせて宿泊施設を作っても大丈夫です。

また、民泊新法の場合、工業地域以外であれば、どの用途地域でも運営可能です。

ただし、場所によっては特別な許可がいることもあるので、始める前に自治体に聞くなりしてしっかり調べましょう。

用途地域別 早見表

用途地域名

旅館業法としての可否(簡易宿所型民泊)

民泊新法としての可否

地域の特徴

第一種低層住居専用地域

×

一戸建ての住宅が中心、静かな住環境

第二種低層住居専用地域

×

低層住宅が多く、一定規模の商店や学校設置ができる

第一種中高層住居専用地域

×

中高層住宅が中心、一定規模の商業施設が建てられる

第二種中高層住居専用地域

×

中高層住宅と大規模な商業施設や公共施設が建てられる

工業地域

×

工場中心、住宅や商業施設は可だが宿泊施設は原則不可

工業専用地域

×

×

工場専用、住宅や商業施設、宿泊施設の建設が不可

田園住居地域

×

住宅のほかに農業を営むことができる地域

第一種住居地域(3000㎡以下)

一定規模の商業施設やホテルの建設ができる

第二種住居地域

多様な商業施設や宿泊施設の建設ができる

準住居地域

自動車関連施設と住宅共存、宿泊施設の建設ができる

近隣商業地域

日用品買い物地域、住宅や商業施設、小規模工場の建設ができる

商業地域

銀行や映画館、飲食店集中、宿泊施設の建設ができる

準工業地域

軽工業とサービス施設立地、多くの施設の建設ができる

参考ページ:用途地域|国土交通省

民泊の地域がどの用途地域が該当するのか、以下のページでも確認できます。

参考サイト:用途地域マップ|MapExpert

宿泊施設の設置に関する特別な注意点

宿泊施設が学校や児童福祉施設などから、約100メートル以内に位置する場合、環境を害する恐れがあると判断された際には、許可が下りないことがあります。

ただし、視界を遮る設備を設けることで、許可が得られる可能性がありますよ。地域によってルールが異なるので、物件がある自治体に事前確認しましょう。

参考ページ:民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて|国土交通省観光庁



補足▼

観光地によっては、旅館業法に基づく民泊運営が可能な地域も見られます。例えば、河口湖周辺ですと、旅館業法の許可が得られる「住居地域」が広範囲で見られます。

 参考ページ:都市計画総括図|山梨県富士河口湖町|スーパーチェックシート

対して、住居専用地域(旅館業法✕、民泊新法◯)は、そこまで広がっていないことが分かります。住宅だけでなく、宿泊施設としての利用も考慮された地域計画がなされていると分かります。


参考サイト:スーパーチェックシート|令和改訂版

建築用途=旅館またはホテル

旅館業法で民泊を運営する際、物件は建築基準法上「旅館またはホテル」である必要があります。

ですが、物件が200㎡以下であれば、複雑な手続きをしなくても、運営を始められる可能性がありますよ(ただし、用途地域のルールは守りましょう)

消防設備

旅館・ホテルとして運営する場合の消防設備のルールが以下になります。

設備要件

必要条件

設備の説明

消火器具

延べ面積が150㎡以上

火災時に初期消火を行うための器具

屋内消火栓設備

延べ床面積が700㎡以上

建物内での消火活動を支援するための設備

自動火災報知設備

ほとんどの施設

火災発生を自動で検知し、警報を発するシステム

漏電火災警報器

延べ面積が150㎡以上

漏電による火災を早期に検知するための警報器

非常警報器具または非常警報設備

収容人数が20人以上

緊急時に警報を発するための器具または設備

避難器具

2階以上または地階で収容人数が30人以上

緊急時の避難を助けるための器具

誘導灯及び誘導標識

全施設

避難経路や避難口を示すための灯りや標識

加えて、旅館・ホテルを運営する場合のポイントは以下のとおりです。

  • 建物が消防法に適合していることを証明する「消防法令適合通知書」が必要

  • 新築の場合は通常、建築士が消防法の要件に合わせて設計すること

  • 既存の建物を旅館業に転用する場合、法的要件を満たしていない可能性があるため、改修が必要になることがある

  • 契約前には、建物が消防法に適合しているかどうかを確認すること

一方で、民泊新法のもとで民泊運営する場合は以下になります。

ルール

対象

50㎡以下

50㎡以上

補足

自動火災報知器

ゲストが泊まる部屋(寝室)

家主がいる民泊で、ゲストの寝室が50㎡未満の場合は、一般住宅と同じルール。寝室に火災報知器を設置するだけで良い

消化器

民泊部分の延べ面積

地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上の場合も、消火器を設置する

避難経路の確保

ゲストが泊まる部屋(寝室)の床面積

50㎡を超える場合は、避難通路を設置する

防火設備の点検

消防用設備

年に1回点検・整備を行う

※家主不在の民泊の場合、旅館・ホテルと同じ条件で防火対策が必要です。

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フロントなどの設備設置

昔ながらのホテルや旅館では、ゲストのチェックインには必ずフロントが必要でした。

しかし2018年の法改正で、小規模な宿泊施設では、フロントを設置する義務が免除に。

スマートチェックインシステム、AI顔認証やビデオチャット、スマートロック連携などの最新のテクノロジーを駆使したサービスが次々と登場し、ゲストの利便性を高めると同時に、運営側の人手不足という課題にも対応しています。

その最前線にいるのが、AirHostが提供する『AirHost ONE』です。

『AirHost ONE』を導入することで、宿泊施設はゲストにスムーズなチェックイン体験を提供できるだけでなく、人手不足による問題解決、運営コストの削減とサービス品質の向上を同時に実現できますよ。

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許可民泊運営とリスク

許可民泊運営とリスク

許可を得た民泊運営は、責任とリスクを伴います。

法的な環境を理解し、罰則を避けるために必要な知識について詳しく見ていきましょう。

許可を取らずに運営する場合の罰則

許可なしに民泊を運営すると、高額な罰金や法的なトラブルに。

旅館業法の違反行為と罰則を表にまとめると、以下のようになります。

違反行為の種類

内容

罰則

旅館業法 条文

無許可営業

許可を受けずに旅館業を営む行為

6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその併科

旅館業法第10条第1号

命令違反(許可の取消処分命令、営業停止命令)

業務改善命令や旅館業法に基づく処分に違反する行為

6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその併科

旅館業法第10条第2号

営業上の義務違反

宿泊拒否、宿泊者名簿の備付け義務違反など

50万円以下の罰金

旅館業法第11条第1号

立入検査等の妨害・報告義務違反

虚偽報告、検査妨害など

50万円以下の罰金

旅館業法第11条第2号

命令違反(公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置命令)

業務改善命令に違反する行為

50万円以下の罰金

旅館業法第11条第3号

両罰規定

法人や雇用主も違反行為に対して罰せられる

行為者と同等の罰金刑

旅館業法第13条

上の表は、罰則について簡潔にまとめたものです。具体的な条文や詳細な条件は、法律の文面を確認しましょう(あるいは、法律事務所や自治体に相談するのも有効ですよ)

加えて民泊新法の場合、無許可の民泊はOTAに掲載できないようになっています。

ちなみに民泊新法で許可を得た場合、標識を掲示する必要があります。

minpaku sign sample

引用元:事業者の業務2|minpaku民泊制度ポータルサイト

罰則を回避するための実践的な対策

法律を守るために、以下の実践的なステップを踏みましょう:

  1. 地方自治体との相談:始める前に、地元の保健所やその他の関連機関に相談しましょう。地域特有のルールもあるためです

  2. 必要書類の提出:所有権の証明、安全検査報告書、保険のカバレッジなど、必要なすべての書類を準備し、提出してください

  3. 検査の受け入れ:地方自治体による検査を受け、ゲストの健康と安全基準を満たしていることを確認しましょう

  4. 専門家の利用を検討:自分で行うのが難しい場合は、行政書士などの専門家を雇うことが賢明ですよ。
    旅館業法のもと営業許可を得られると、「旅館業(営業)許可証」が発行されます。

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ルールが厳しい旅館業法ですが、運営上得られるメリットは多々あります。

  • 営業日数に制限がない

  • OTAへの掲載で有利な点がある

  • 信頼性とブランド力がある

  • 地域との連携・国や自治体からのサポートが受けやすい

それぞれ詳しく解説します。

営業日数に制限がない

一年中、無制限で営業可能な点は大きなメリットですね。
営業日数に制限がないということは、以下のような恩恵を受けられることも。

  • 365日オープン:季節を問わず収入チャンス

  • 収益UP:制限なしで、ピークシーズンもオフシーズンもフル稼働

  • 戦略自由度:プロモーションや価格設定、イベント時でも柔軟に対応

  • 顧客満足:常に開いているので、リピーターを囲い込みやすい

  • 安定経営:市場の波に左右されず、安心のビジネスプランニングができる

旅館業法の許可で、いつでもゲストを歓迎できますね。年間通して最大限の収益を目指しましょう!

OTAでの有利性

一部のOTAは、旅館物件のみ掲載可能な場合があります。加えて、

  • ターゲット拡大:掲載可能なOTAが増えれば増えるほど、より多くの旅行者にリーチ

  • 競争力アップ:限定されたOTAでの掲載は、競争を減らし、目立つチャンスも

旅館業法の許可を取得することで、OTAの世界で一歩リードできます。

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定員数の柔軟性

旅館業法に合わせたホテル・旅館であれば、部屋の数だけゲストを受け入れる柔軟性があります。他にも、

  • ファミリーや団体に最適:大家族やグループ旅行者も快適なステイを提供。思い出に残る滞在に

  • イベントや合宿に対応:スポーツチームやセミナー参加者など、特定のイベント向けの大人数宿泊ニーズに対応化

  • 収益性の向上:より多くのゲストを迎えることで、収益機会が増加。ビジネスの拡大に

一方で、旅館業法に合わせた民泊(簡易宿所)と、民泊新法に合わせた民泊の場合、一人あたりの床面積が3.3㎡必要、というルールがあります。
(床面積とは、寝室・浴室・トイレ・洗面所・リビングなどゲストが行き来する部分を含む)

参考サイト:はじめに「民泊」とは|minpaku民泊制度ポータルサイト

また、1度に10人以上のゲストを迎える民泊を運営する場合、物件の広さ、トイレの数、浴室の数について、事前に保健所と確認する必要があります。

例えば、東京都千代田区の場合、定員10人の場合はトイレの数が3つ(男子用・女子用とで区別)、とされています。

参考サイト:旅館業のてびき|千代田区保健所

一定の信頼性とブランド力

旅館業法としての許可を得ることで、品質の証だけでなく、国内旅行客からの信頼を得られることにも繋がります。

さらには、

  • ブランド価値の向上:宿泊施設の品質と信頼性が象徴されることで、ブランド価値が高まる

  • 選ばれる理由に:多くのゲストが安全と信頼を重視。旅館業法許可は選ばれる大きな理由になる

  • 口コミの強化:満足したゲストからのポジティブな口コミが増え、新たなゲストを引き寄せる効果が期待できる

といったメリットも得られますよ。

地域との連携やサポートの受けやすさ

旅館業法を得ることで、以下の点でもメリットが挙げられます。

  • 地域とのシナジー:地方自治体との連携がスムーズ

  • 助成金のアクセス:自治体の助成金やサポートプログラムを利用しやすくなり、経済的な支援を受けやすい

  • ビジネスの安定化:地域のサポートを受けることで、ビジネスの基盤が強化され、安定した運営が可能に

  • 地域経済への貢献:地域との協力により、地域経済への貢献も期待でき、良好な関係が築ける可能性が高い

地方自治体との連携を強化することで、経済的なサポートを受けやすくなり、ビジネスの安定性と地域への貢献を同時に実現できます。

まとめ

旅館業法と民泊新法の違いと、あなたの民泊運営がどの法律に従うべきか、ヒントをお伝えしました。

ルールが多い旅館業法ですが、宿泊施設としてのメリットが最大化される点は大きなメリットともいえます。

一方で、これらのメリットを最大限に活かし、民泊ビジネスを成功に導くためには、専門的なサポートも不可欠。

エアホストであれば、旅館業法にも民泊新法にも対応した運営をサポートできます。

特に民泊新法に基づく運営を行う際には、楽天バケーションステイなどの専用OTAサポートや180日ルールを遵守するための便利な機能を提供しています。

エアホストを活用することで、法律を守りながら効率的に宿泊施設を管理しつつ、民泊ビジネスを拡大できるかもしれません。

民泊ビジネスの最初の一歩として、お気軽にお問い合わせくださいね。

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